沖縄時間(ウチナータイム)に思う 01

沖縄時間(ウチナータイム)に思う 01

藤田 次郎教授
平成17年7月7日

 沖縄には沖縄時間というのがあると聞いてきた。沖縄時間というのをインターネットで調べてみると「沖縄時間(ウチナータイム)という言葉がある。もともとは電車のない沖縄の、時間を気にしない人々の遊び方と、ダラダラとキリのない夜更かし好きを皮肉ったものだ」とある。最初にこれを知ったときは沖縄とは何と素晴らしいところだろうと思った。しかしながら自分が琉球大学医学部教授に就任すると決まってからこの言葉は困ったものだと感じるようになった。

 私がレジデント時代を過ごした、虎の門病院、および国立がんセンターでは時間厳守が原則であった。時間に遅れることは医師として失格であるとされた。実際、全てのカンファレンスは時間通りに始まっていた。この5年間のレジデント生活で時間を守ることがあんまり当たり前に身に染み付いてしまったために、私の中から時間に遅れるという習慣は全く消えてしまった。実際に香川大学医学部第一内科時代は、朝8時から始まるカンファレンスに17年間、1回も遅れたことはなかった。

 ただし問題点が1つある。それは時計の精度である。いくら時間を守るのが当たり前のように身についたとしても、自分の時計が狂っていては遅れることがありうる。ロレックスにしてもパテックにしても平気ですぐ5分位誤差が生じる。これを解決したのが電波時計である。さらに最近の技術の進歩はすさまじく、腕時計型の電波時計も登場した。これらを含めて私の持っている電波時計を紹介する。

電波腕時計(CASIO社)  まず写真1は普段使用している電波腕時計(CASIO社)、これは自分で3万円位支払って購入したもので、大変重宝してきた。しかし初期のものでサイズがやや大型であることから、中にトランシーバーでも入っているのかとからかわれることがある。
CITIZEN社製の電波腕時計  次に写真2はCITIZEN社製の電波腕時計、これは私の送別会の時に医局からプレゼントされたものである。当時、私が医局長であったために、自分で自分の記念品を選び、自分で立て替え払いをして購入し、領収書を医局に回して、医局からいただいたものである。この時計は、教授回診時とか、外の病院への挨拶回りに使用するつもりであるがしばしば写真1の時計と交換するのを忘れてしまう。
目覚まし用の電波時計  写真3は官舎にある目覚まし用の電波時計、これは香川大学医学部第三内科、西岡幹夫名誉教授がご病気になってお見舞をした後に、全快祝いとして送られてきたものである。沖縄で生活するようになって体内時計が狂ったために(ホームページの自己紹介欄参照)、最近これを愛用している。
電波時計  写真4は教授室の机においてある電波時計、これはClarithとの刻印があるように、大正製薬より随分前に記念品としていただいたものである。
電波時計  写真5は香川県高松市屋島西町の自宅リビングにある掛け時計、これはSEIKO社のもので、形は古風であるが中味は最新の電波時計で、デザインも気に入り自分で10万円を支払って購入したものである。
目覚まし時計  写真6は屋島西町の自宅用に目覚まし時計として購入(CASIO社のもので5000円位)したもので、私の遺伝子を継いだのか息子がたいへん気に入ってしまい、家にいる時は朝から晩までほとんど腕時計状態で持ち歩いている。私は電波時計を愛用している人は血液型A型の人が圧倒的に多いとの仮説を立てているが、私の息子は血液型O型であるので、血液型以外の因子もあると感じている。
目覚まし時計  写真7は、私の教授就任祝いとして、小学校から同級生で、同じく香川大学医学部第一内科同門の先生がプレゼントしてくれたもの。私の好みを知り尽くしているので、何か機会があるとエビスビールを送ってくれ(私はアサヒのドライは飲まず、エビスビールのファン)、記念品としては電波掛け時計をわざわざ自宅まで届けてくれた。残念ながら官舎には掛けるところがなく今のところは箱に入っているが、将来は教授室に吊るそうかと考えているものである。

 これに加えて、私の車のナビについている時計もまた電波時計である。

 このように私の回りにはいつのまにか電波時計が増えてしまった。ただし私は電波時計が好きなのではなくて、時間を厳守するための正確な時間を求めているのである。ところが沖縄で生活するようになり私の平穏な時間間隔を狂わせる大変な出来事が発生している。なんと沖縄では車のナビ以外の電波時計が全て電波をキャッチしていないのである。おそらく教授室、および官舎の立地条件、壁の厚さなどにより電波が届いていないのだと考えられる。これは私にとっては大ショックであった。

 話を元に戻して、沖縄時間(ウチナータイム)の考え方は、職場において私のいままで実践してきた時間厳守とは相反するものである。琉球大学医学部感染病態制御学講座(第一内科)の時間はどうなのだろうと思って現在、観察中であるが、おおむね時間通りに始まっているようである。ただし中には、5分ほど遅れてくるものもある。私は17年間、朝8時からのカンファレンスを題材に観察し続けた経験から、1つの真理を発見した。その真理とはカンファレンスに5分遅れてくる人は、その他の会にも5分遅れるし、外での待ち合わせに際しても5分遅れてくるという法則である。すなわちそれぞれの人の個性として、遅れる時間の程度はほぼ決まっているのである。極端な言い方をすると、わざわざゆっくりコーヒーを飲んででも5分間遅れることを選択しているのである。これは17年間かけて検証したので、かなりの自信をもって断言できる。よく似た事象として、机の回りを片付けない人は、メールボックスも、車の中も、コンピューターのデスクトップも、場合によっては頭の中も同じ状態になるようなものである。もちろん臨床医であるので稀に患者の急変など不測の事態で遅れることは避けられないものの、これは繰り返すことはないのですぐに鑑別可能である。また時間を守る習慣がついている人はその様な事態で遅れる際には必ず事前連絡するものである。

 ちなみに香川大学医学部第一内科においては、歴代教授、前助教授(現、徳島県立中央病院院長)、私、および私と一緒に仕事をしていた呼吸器科医師の4名のみが朝のカンファレンスに1回も遅れることはなかった。すなわち責任ある立場にある人と、時間を守る習慣がついている人は決して遅れないのである。歴代教授以外の3名は国立がんセンターでの勤務歴を有しているので、1度時間厳守の習慣が体に染み込むと、決して定められた時間には遅れなくなるのであろうと類推できる。

 さて教授になってからのしばらくは観察期間である。香川大学医学部第一内科時代に私と一緒に仕事をしていた呼吸器科の医師からは、教授になったら、少し遅れて部屋に入るのがよいとのアドバイスを受けた。これは17年間時間厳守を貫いてきた私にとってはかなり努力のいることであり、わざと1-2分遅れて出席するようにと、教授室で何秒か狂った電波時計をそわそわしながら何度もチェックしつつ、少し遅れて出席するよう心がけている。部屋に入ってからは、カンファレンスの始まりの時の集まり具合を評価するとともに、時々回りを見渡して、彼は何分、彼女は何分とチェックしている。これによって個々の医局員の持っている時間に対する考え方を判定しているのである。

 私は職場において時間を守れない人は、医師としてのみならず社会人としても失格であると思っているので、あまり私と時間感覚の異なる医局員には開業を勧めるか(責任者になるので、絶対に時間厳守を心がけざるを得ない)、あるいは時間を守る必要のない病院(離島でもそんな病院はないとは思うけれど)の医師として派遣し、沖縄時間(ウチナータイム)を満喫してもらおうかと考えている。

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