現代の首里城

琉球大学医学部は「現代の首里城」である

 平成19年7月27日から30日まで、「RAKUEN」三好和義氏に、来沖していただき琉球大学医学部、および附属病院を撮影していただいた。 三好和義氏はすでに30冊以上の写真集を出版している超一流の写真家である。ただし彼の原点は沖縄にあり、高校生時代に沖縄を訪れ、その際に撮影した写真 が全国高校生写真コンクールで金賞を受賞している。私はそのことを知っていたので、三好和義氏は、必ず来沖してくださるであろうと予測していた。もちろん 写真撮影の目的は、琉球大学医学部で学ぶ、あるいは働く全ての人々に琉球大学医学部の素晴らしさを再認識してもらいたかったからである。

写真左から、:大城繁係長(医学部環境管理係)、私、中村さん(RAKUENアシスタント)、松島さん([株]ブレーン沖縄)、三好和義氏(RAKUEN)、大学本部病院施設係:多和田眞博主任

 ただし直接のきっかけは、医局秘書の仲本さんが、届けてくれた1冊の本である。実はこの本には、46ページから53ページの8ページにわたって琉球大学 医学部の写真が紹介され、設計士、田村麗丘氏の設計のコンセプトが紹介されている。この設計のコンセプトはきわめて重要であるので以下に全文を引用する。

◇新しい首里城
琉球大学医学部キャンパスは、本校と独立した首里に近い小高い丘の上にある。東に太平洋、西に東シナ海を望む眺望にすぐれた場所である。沖縄の歴史的砦が 首里城とすれば、もともと首里城跡にあった琉球大学は、現代の文化の砦ともいえ、丘の上に立つ医学部を、現代の首里城のイメージで捕らえデザインした。

◇沖縄の自然と文化の表現
この新たなる首里城を沖縄にふさわしい文化的な施設とするため、沖縄の風土が育んだ知恵を、空間構成の要素に生かす工夫をこらし、沖縄原産の植物や材料、 沖縄の造園の伝統の粋を集め、それを各所に生かすことを基本として考えた。また灼熱の沖縄の気候を考え、暗色系のスタイル、芝生、ビーチコーラルなどを 使って照り返しの少ない仕上げにしている。オリジナルデザインによる木製バーゴラの大回廊や木陰、防風などにも十分注意している。

◇デザインの発想
正面を入ると、右手に特徴のある屋根を持つガジュマル会館、左手に保健学科棟、その間にガジュマルの木で構成した「森の広場」がある。そこを抜け、樹齢 100年、直径3メートルの大きなガジュマルに向かってゆるやかな階段広場を上がっていくと、トラバーチン(琉球石炭岩)の大ヒンプン(沖縄の民家の母屋 と門の間にある目隠しの塀)が立っている。ヒンプンをくぐると、静かな村里を表現した命の泉を中心にブーゲンビリア這わせたパーゴラに囲まれた沖縄の「里 の広場」が広がる。「森の広場」は誰でも自由に入っていける開かれた広場であるのに対して、「里の広場」はヒンプンによって閉ざされた、医学部の里とも言 うべきプライベートな広場となっている。
「里の広場」から先は、ビーチコーラルが敷きつめられ、その中にトラバーチンの自然石を配し、琉球列島を表現した「浜の広場」が連なり、その先は雄大な中城湾へとつづく。
つまり森から里へ、里から海辺へという御嶽(うたき)信仰や沖縄独特の世界観を空間づくりの発想の基礎に置いている。

◇時と心を紡ぐ庭
ランドスケープ・デザインでは、出来立ての見栄よりも、経時変化して行く中で醸成される美しさが大切である。石はそれだけで人の心の時を刻みつける材料であるが、ここには自然とともに移り行くドラマがある。
デザイナーの意図が、現実の場に再現できたのは、炎天下で黙々と鑿をふるってくれた多くの石工に負うところが大きい。石に魂を吹きこみ、一丸となって石を 刻んでくれた彼らのお陰である。単なる工事仕事ではない。入魂の作品であり、大家の彫刻にも劣らない。竣工後8年経過した今、石の表情は微妙な風格へと変 化している。その変化はこれからもなお、人々に心豊かなメッセージを送りつづけていくに違いない。

日本技術開発(株) 田村麗丘

 このように琉球大学医学部キャンパスは、「現代の首里城」をイメージとしているのである。この本に紹介されている医学部の写真も素晴らしいが、私は現在の琉球大学医学部の写真を現時点で残しておきたいと考えた。
 実際に撮影された写真は、別のコラムに掲示してあるが、全ての写真の中で私が最も気に入ったのは、以下に示す写真である。

 樹齢120年のガジュマルを中心に、保健学科、図書館、附属病院、臨床研究棟、基礎研究棟、および講義棟などが見える。ヒンプン、およびシーサーも沖縄らしい風情を醸し出している。また月までが輝いている。

 この写真を将来、詩人として大成するであろうと確信している、中村晴奈さんに見てもらったところ、以下のような詩をつけてくださった。詩のタイトルは、中村晴奈さんから提示していただいたものの中から、私の好みも入れ「夢幻」とした。

遠くに ひっそりとした光が見える
あれは たしかに 私をいざなう確固たるみちしるべ
遠く 高みの世界へと

今にも ささやきかけんとばかりに光を放つ空色の月は
何を写し 何を想ってその身を焦がしているのだろうか
手をのばせば届きそうな 輝きの中にいる
その小さくも おおいなる存在よ

祝福してくれるだろうか
その命を 精一杯に表現しようとしている木々たちも
夜の幻の中では
その光や輝きに 満たされようとしている

美しい旋律が聞こえてきそうな 空と緑の距離
吸い込まれてしまいそうな 紺碧の青
それは 深い心の奥底へと続いている

地上にあるものが調和したとき
そこには新たな光が生まれる
たとえそれが 美しくも儚い ひとときの幻想でも
世界が織りなすこの光景に
心を奪われずにはいられない

静かな夜のざわめきが どこからか聞こえてきそうだ
いかなる思いも
こんな夜の闇の中では
淡く氷のように溶けてゆく

世界には まだまだ続きがある
すばらしいものは どんな場所にも息づいてる
だから私は 目をそらすことができない
どんな風景も
この胸の中に 深く深く 刻みつけたい

 今回、三好和義氏に来沖していただき、写真撮影を行ったことで、琉球大学医学部の素晴らしさが再認識できたし、また第一内科にとってもいい 力を得たと確信している。さらに今後の琉球大学医学部の改善のための努力目標も得ることができた。いずれにせよ我々は「現代の首里城」で学んでいるのである。

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