健山准教授ご挨拶

健山准教授

私は1987年に第一期生として琉球大学を卒業しました。現在はAIDS、レジオネラ肺炎、薬物動態学を主に研究しております。入局した当初は肝臓を専門に勉強したいと思っておりましたが、1年目が終わる頃に就任したばかりの先代の斎藤教授から大学院に入るよう勧められました。

その当時の教室は実験室がようやく立ち上がった頃で、体力的にタフな若手が必要だったことが主な理由だったと思います。 しかし私は感染症にはあまり興味がなかったのですが、教授の勧めを(勧告に近いものでしたが)断る勇気もなく大学院の門をくぐることになりました。このように私の感染症を志した動機はいささか心許ないものではありましたが、その後、研鑽を重ねるにつれて感染症の奥深さ、面白さに目覚めることができ、今では感染症に導いてくれた斎藤前教授に感謝しています。

臨床では主としてAIDS患者の診療を担当していますが、HAARTが導入される前はニューモシスチス肺炎(PCPから現在はPJPへと名称変更)やカポジ肉腫など他の疾患で合併することの少ない日和見感染症の治療に明け暮れていました。HAART導入後は救命率も極端に高く、現在では慢性疾患の様相を呈するようになり、糖・脂質代謝異常を始めとした副作用管理が新たな課題となっており、代謝内分泌学を専門とする他の研究者と共同研究をしています。また HAART導入後に結核の初期悪化のように増悪する免疫再構築症候群症例が増えるにつれてその病態と予防に大変興味をもっており研究テーマとして取り組んでいきたいと思っております。 教室はクリプトコッカスや結核、肺炎球菌などの感染防御機構の研究を活発におこなっておりAIDSは感染防御能を研究する上でも大変貴重な疾患と思います。沖縄はHIV感染者が多く、また初診時「いきなりAIDS」といわれる症例も年々増加しています。 耐性ウイルスの蔓延も危惧しており厚労省の研究班に参加してサーベイランスを行っています。病態および治療のみならず感染者をできるだけ増やさないため、大学機関としては稀でしょうが行政と緊密に連携して対策事業を行い一定の成果を得ています。喜ばしいことに将来HIVを専門にしたいと希望する若手の医局員が増えており、沖縄からHIV診療の重要なメッセージを発信できるよう日々研鑽しております。他の研究テーマとしてレジオネラ肺炎の重症化機序の研究を行っております。レジオネラ肺炎が、他の細菌性肺炎より重症化しやすい大きな理由は(診断の遅れは別として)KL-6の測定、肺病理の検討などから、私は肺の線維化だと考えております。レジオネラ肺炎で通常の細菌性肺炎では禁忌であるステロイドで救命される症例報告も増えており、ステロイドの適応基準を提唱すべく研究しています。 最後に私の考える感染症の研鑽法について、このHPに「大学で感染症を学ぶということ」を書いてみました。感染症に興味のある若手の先生に御一読頂ければ幸いです。

琉球大学大学院 感染症・呼吸器・消化器内科(第一内科)准教授 健山 正男

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