感染症グループの紹介

感染症グループ

診療概要

当科で診療する感染症患者の対象疾患は呼吸器感染症を中心として多岐に及んでいる。他大学病院ではあまり類をみないHIV診療、輸入感染症、院内感染対策にも注力している。

特筆すべきはレジオネラ肺炎、ニューモシスチス肺炎、Streptococcus milleri groupの基礎的、臨床的研究においては国内の指導的地位を占めている。以下、個別にその概要を記す。

レジオネラ肺炎は集団感染することからその重要性は指摘されているものの、診断が難しいため国内の報告例が少ないが、当科で診断したレジオネラ肺炎は135症例(多施設の依頼症例含む)に及ぶ。下記3に示すように臨床的検討および発症機序に関する分子生物学解析を進めている。

HIV診療では沖縄県は人口あたりのHIV感染者が全国的にも高いが、その80%以上(2005年5月現在:75例)を当科で診療しており九州地区における重要な拠点病院の1つとして重責を担っている。

国内最南端の国際空港があるためマラリア(30例)、デングをはじめとした輸入感染症症例も多く、稀用薬保管施設に指定されている。また海外にも医療支援や熱帯病研鑽を深めるため、これまでラオス、タイ、バングラデシュ、中国、フィリピンなどに医局員を派遣してきている。現在、外務省医務官として海外に2名派遣している。

院内感染対策にも当科が中心となって活動を行っており、その業績が認められ、2005年に日本環境感染学会賞を受賞した。

感染症教育の概要

前述した多彩な感染症患者の診療を行う機会が多いため、研修医に対して塗沫染色や検鏡、検体採取法などの基本的技術の徹底したトレーニングを行うと同時に感染対策の基本教育から、体内動態を考慮した最新の抗菌薬使用法、画像診断法、分子生物学的診断法などを教育している。

研究の概要

1)病態の研究

呼吸器感染症の重症化の機序を分子レベルから解析する研究を行っている。特に重症肺炎の起炎菌である肺炎球菌やレジオネラに対する自然免疫の役割を検討しており、発症予防や重症化防止につながる研究を目指している。肺炎球菌感染におけるNKT細胞およびγδT細胞の重要性を示してきた。レジオネラの防御にはToll-like receptor2(TLR-2)が重要な役割を担うことを示してきた。さらに、他のTLRやレジオネラの病原因子に関する研究を海外の研究者と共同研究をすすめている。臨床では成人麻疹肺炎の臨床的特徴と免疫学的応答を解析し発表した。また当教室もその作成に参加した日本呼吸器学会市中肺炎治療ガイドラインを中心に欧米のガイドラインとその有用性に関する比較検討を行った。

2)診断法、サーベイランスの研究

DNAアレイを用いた研究開発(産学共同研究)に取り組んでいる。本研究は市中肺炎の起因微生物をより詳細に明らかにすることが期待されている。

レジオネラ肺炎の迅速診断法としての尿中抗原検出法とPCR法の評価と比較を行い、その臨床的有用性と問題点とを明らかにし報告した。これまではオーストラリアだけで明らかとなっている腐葉土(園芸用培養土)中のレジオネラの検出を行い、本邦におけるその分布状況を明らかにした。病院および医学部建物の環境、給湯給水中のレジオネラの生息状況を明らかにし、除菌方法に過酸化水素および高濃度塩素維持が有用であることを見出た。

当教室は九州地区において2番目に多いAIDS患者症例を有し多方面から研究をおこなっている。ニューモシスチス肺炎の重症化予測因子としてKL-6、β-Dグルカン値、BALF中の好中球数との関連を報告した。国内においてAIDS患者の抗HIV薬の耐性ウイルスの蔓延化が危惧されているが、当院でも耐性ウイルスを検出する全国プロジェクトに参加しその早期発見に努めている。また進行性多巣性白質脳症の原因ウイルスであるJCウイルス検出プロジェクトにも参画している。

3)治療法の研究

各種抗菌薬のレジオネラに対する基礎的および臨床的評価を行い、フルオロキノロン系抗菌薬の有用性を報告した。市中肺炎治療ガイドラインの比較検討を行った。キノロン薬の体内動態の特性から最適な投与法の研究を当教室が主体となり、全国的な多施設共同調査を進めている。

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