学位取得者の紹介
(武嶋 恵理子)

医学博士 | 医研第330号 平成21年 3月23日 |
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学位論文 | Helicobacter pylori -Induced Interleukin-12 p40 Expression (Helicobacter pylori 誘導性のInterleukin-12 p40発現) |
この春、お蔭様で無事学位を取得させて頂くことができました。つきましてはこの3年間、手厚くご指導していただいた森直樹教授をはじめ、研究生活を支えていただいた藤田次郎教授、金城福則診療教授、病原生物学教室のスタッフや第一内科医局員の先生方には本当に感謝申し上げます。
この3年間は長かったようで短かったような不思議な気分です。卒後8年目にして遅い?大学院入学をさせて頂き、私の実験テーマは基礎医学に基づいた研究だったため最初は見るもの、聞くものすべてはじめての世界でとまどいました。学生時代に習ったはずのピペットマンの使い方すら記憶から消え失せていて実験手技や、単語を覚えるのに必死の毎日でした。それが1年もすぎると一通り実験手技を覚え、2年目にはそれをさらに発展させることができ、3年目には知識を深めながら実験することができました。
私はHelicobacter pylori 感染が,慢性胃炎において重要な炎症性サイトカインであるインターロイキン12を誘導することを証明しました。Helicobacter pylori 感染により引き起こされる疾患は、胃十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎をはじめとする炎症性疾患、またそれらの炎症が長期化することで起こる胃癌、MALTリンパ腫など多岐に渡ります。特にHelicobacter pylori 感染と胃癌の関係はいろいろな研究で証明されており、また、現在様々なサイトカイン、細胞内シグナル分子を標的とした分子標的治療が注目されており、今後の胃癌予防、治療の観点からも本研究は影響を与えることができると思われます。
この大学院生活で臨床医学しか知らなかった私が基礎医学を学ぶことで、臨床と基礎はやはり一体なのだと痛感させられました。また基礎医学の重要性を改めて思い知らされました。
今後はこれまでに培った知識や実験手技をいかして、いままで試験管内の実験でしたが、どうにか沖縄における臨床研究に結び付けられないかと考えているところです。 一緒に研究に参加してみたい方、基礎医学も学んで見たい方、大募集中です。 これからもまた皆様のご協力をお願いすることになると思いますがよろしくお願いします。