学位取得者の紹介
(金城 武士)

学位取得者の紹介(金城 武士)
医学博士 医研第279号 平成19年1月31日
学位論文 NKT cells play a limited role in the neutrophilic inflammatory responses and host defense to pulmonary infection with Pseudomonas aeruginosa. Microbes Infect 8(12-13):2679-85.2006.

「緑膿菌感染防御におけるNKT細胞の役割」というテーマの論文が無事、アクセプトされ、医学博士の学位を取得することができました。ご指導していただいた藤田次郎教授、斎藤厚名誉教授、川上和義教授に深く感謝いたします。また、これまで支えてくれた大学院の諸先輩方、ならびに同期の仲間達にも感謝しています。

私は学生時代、部活動に精を出し、あまり勉強した記憶がありません。医師になり、もっと深く勉強してみたいという思いから大学院進学を決意しました。第一内科の川上和義前助教授(現東北大学教授)の研究グループは、年に1回は国際学会へ出席、発表し、論文の数も多い研究の盛んなグループだったので、何を研究するかは二の次で、このグループへの入学を希望しました。川上グループの研究テーマは感染防御における自然免疫の役割で、病原微生物としてはクリプトコッカス、カンジダ、結核菌、肺炎球菌、緑膿菌などを用いていました。自分の研究テーマが決まるまでは、これら複数の感染実験に携わることができ、非常にいい経験となりました。

2002年にハーバード大学のグループが緑膿菌性肺炎におけるNKT細胞の役割に関する論文をNature Medicine誌に発表しました。この論文ではCD1dノックアウトマウスを用いていますが、このマウスでは複数のNKT細胞サブセットが欠損しています。そこで我々はマウスの主要なサブセットであるVa14+NKT細胞のみを欠損したマウスを用いて、緑膿菌感染防御におけるNKT細胞の役割を再検討することにしました。その結果、Nature Medicine誌とは異なる結果が得られ、オーストラリアで開催された学会でこのデータを発表しました。意外にも我々のデータを支持する声が多く聞かれ、非常に励まされました。これがきっかけとなりこのテーマで論文を書くことを決め、実験を重ねて論文を完成させることができました。

現在、臨床の現場で働いていますが、大学院時代に培った経験が生かされていることを実感しています。それは知識のみならず、物事を考えるときの思考回路についても少し変わった気がします。また、論文に書かれている内容を「先ずは疑う」という癖もつきました。そうすることで論文の欠点が見え、論文の質を評価できるようになった気がします。大学院という道を選択して本当に良かったと感じています。

お問い合わせはこちら

Contact

お気軽にご相談ください。

患者様は琉大病院へお電話ください

098-895-3331

診療受付時間 / 平日午前8:30〜午前11:00

第一内科へのお問い合わせ・質問は

098-895-1144

受付時間 / 平日 9:30〜18:00(土日祝日除く)