SARS-CoV-2感染者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性解析 (研究プロジェクト 2)

2021年11月16日

1.本研究の目的および方法

研究目的:2020年度の日本医療開発機構(AMED)「ウイルス等感染症対策技術開発事業」と、現在進行中のAMED「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」(2019-2023年度)において、従来からの抗体量測定に新たに開発した抗体の抗原補足力(親和性)測定値を加えることで、抗体機能、ここではSARS-CoV-2感染者誘導抗体の「感染防御能」の解析精度を増加させ得ることを明らかにしました。このことから内閣府の「健康・医療戦略推進本部」では、現在進行中のAMEDプロジェクト「各種抗体の抗原親和性モニターによる診断・治療一体化アレルギー免疫療法の有効性向上の治療戦略研究」に、新たに「調整費」として追加予算配分して、関連する3課題:(研究プロジェクト1) COVID-19ワクチン接種者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性評価、(研究プロジェクト2) SARS-CoV-2感染者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性評価、(研究プロジェクト3) COVID-19ワクチン接種者のアナフィラキシー発症誘因抗原の解析と、アナフィラキシー発症リスク解析、を実施することとなりました。本公開文書では、(研究プロジェクト2) SARS-CoV-2感染者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性評価について情報公開いたします。

 

研究対象者:
SARS-CoV-2感染入院患者で重症度4分類(新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き、第5版)
の各グループの患者と、非感染健常者
・軽 症 :「呼吸器症状なし、または咳のみで呼吸困難なし」の状態で、胸部画像上、肺炎所見がなく、酸素飽和度が室内気で96%以上ある患者
・中等症Ⅰ: 胸部画像上、肺炎所見があり、酸素飽和度が室内気で94%~95%あり、酸素投与の必要性がない患者
・中等症Ⅱ: 酸素飽和度が室内気で93%以下であり、酸素投与が必要な患者
・重 症 : 集中治療室(ICU)に入室、または人工呼吸器が必要な患者
酸素飽和度と臨床状態で重症度に差がある場合、高い方に分類する

・非感染健常者:非感染健常者検体は、感染履歴の無い健常者の検体をもっていたしますが、(研究プロジェクト 1) COVID-19ワクチン接種者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性解析の研究に参加する共同研究機関の国立病院機構三重病院が収集するCOVID-19ワクチン接種健常被験者で、ワクチン接種前の検体をもって非感染健常者検体といたします。

なおSARS-CoV-2感染者としては、気道検体(鼻腔ぬぐい液、唾液、喀痰など)中に、核酸増幅検査法に
よるSARS-CoV-2ウイルス遺伝子の検出陽性者、あるいはSARS-CoV-2ウイルス抗原検出陽性者を持って定
義いたします。

研究方法:上記の研究対象者の血清または血漿検体100 μL(全血で200μL)中の感染防御能を
示すIgG抗体の濃度とその抗原親和性を測定致します。具体的には、SARS-CoV-2感染入院患者の日常診療で採血する残余検体から血清または血漿検体100 μLを分取し、COVID-19抗体価を [全長S1 spike protein、NTD(感染増悪抗体認識部位)、RBD(ACE2認識-感染中和抗体結合部位)、CTD(C末端領域部位)]それぞれに対する抗体価を測定すると共に、それぞれの領域に対する抗原親和性、交叉免疫性による感染防御能の解析を実施いたします。なお、交叉免疫性は、武漢系統株、2種類のイギリス変異株、ブラジル変異株、南アフリカ株、インド変異株、その他新たに出現した変異株との交叉免疫性を調査します。

血液検体は重症度分類をした入院初診時の検体(必須)と、入院期間中の最重症状態の血液検体、さらに
発症から1ヶ月±1週間目(退院のケースを含む)の3検体が望ましいが、少なくとも入院時(必須)と、入院中の最重症状態の血液検体がそろっている症例を優先して収集いたします。最重症状態の血液検体は入院時が最重症の場合及び入院中の状態が入院時と変わらない場合、入院時検体のみであっても良いとします。退院時が最重症の場合は退院時検体が最重症時の検体も兼ねます。

期間: 試験全体の期間:承認日~2024年3月末までとします。但し患者登録は、承認日~2022年3月末までといたします。

症例数: 重症度分類されたSARS-CoV-2感染入院症例 250 症例、非感染健常者 250 症例、なお本学での予定症例数は、現時点では未定です。

委員会承認: 本研究は、倫理審査委員会の承認を得て実施しています。

 

 

2.研究に用いる試料・情報の種類および保管方法について

研究に用いる資料:SARS-CoV-2感染入院患者の血清または血漿100 μLを用いて、感染防御能を示すIgG

抗体の濃度と抗原親和性、交叉免疫性を測定致します。また、検体を採取したときの年齢、新型コロナウイルス感染の状況と重症度、治療経過、治療薬の服用情報などで、検体を採取したときに情報を一緒に提出いただきます。

 

保管方法:すべての検体は、-20℃以下で凍結保存し、凍結のまま輸送します。収集した試料・情報の管理者は木戸 博特任教授とします。なお、AMED「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」において実施する本研究では、「SARS-CoV-2感染者に誘導された抗体の感染防御能と交叉免疫性解析」に関与する医療機器の承認申請を計画していることから、収集した試料・情報の提供元と提供先では、承認の可否が明確となるまでその授受の記録を保管します。個人情報は、各研究機関の責任者が外部ネットワークとの接続の無い本研究用PCで電子媒体として保存します。保管期間終了後は完全に廃棄し、本研究以外には使用いたしません。

 

 

3.本院以外の研究機関への試料・情報の提供

データの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、各研究機関の責任者が保管・管理します。本研究の情報を目的以外で使用する必要が生じた場合、もしくは他の機関へ提供する(二次利用)場合は、改めて倫理審査委員会での承認を得て行います。また、検体提供者からデータの開示要求があった場合、試験終了後に開示いたします。

 

 

4.研究組織

国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所、生体防御病態代謝研究分野 木戸 博

国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所、生体防御病態代謝研究分野 高橋 悦久

国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所、生体防御病態代謝研究分野、澤淵 貴子

昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門、相良 博典

琉球大学大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科、金城 武士

国立病院機構沖縄病院、呼吸器内科、藤田 香織

AMED「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」共同研究分担者

・国立病院機構三重病院、藤澤 隆夫

・応用酵素医学研究所株式会社、鈴木 宏一

 

 

5.研究結果の公表について

本研究の結果は学会や雑誌等で公表することがありますが、公表に際しては特定の研究対象者を識別で

きないように措置を行った上で取り扱います。

 

 

6.研究資金および利益相反管理について

本研究は、国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)からの受託研究費を使用して実施されます。また本研究の利害関係については、臨床研究利益相反審査委員会の審査を受け承認を得ております。

 

 

7.本研究への参加を拒否する場合

試料・情報が当該研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。なお、本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。またご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

 

 

8.研究責任者および連絡(問合せ)先

【研究機関】 国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所

【研究責任者】 生体防御病態代謝研究分野 特任教授 木戸 博

【連絡先】 国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所・生体防御病態代謝研究分野 木戸 博

電話番号: 088-633-7425 秘書室

【研究代表者】 国立大学法人徳島大学先端酵素学研究所・生体防御病態代謝研究分野 木戸 博

 

本研究への参加に同意しない場合は、上記連絡先までご連絡下さい。

 

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